ヌメロなみなさまごきげんよう。一雨ごとに冬が近づいて来るこの頃、というよりも何の前触れもなく床暖房をONにしないといけない時季に突入しましたが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。我が家の愛犬どんちゃんも暑すぎた夏の頃はお散歩をボイコットしたりお散歩時のムシムシ感に辟易していたけれど、最近は待ちきれないんですけど!とばかりに外へ行きたがるし、私としても夏よりもレイヤーの多くなるわりにまだ本調子で寒いわけじゃないこの季節は、日々着るものを考えるのも楽しい季節。マントとかポンチョが大好きな私にはたまらないのであります。さて、今回のテーマは「AVANT-GARDE」。アヴァンギャルドといえば前衛芸術やら前衛美術やら。掘り下げていけばものすごく深い歴史があって、そこから派生したあんなことやこんなこと、も興味深いことがたくさんあるけど、そんな深いことを知らないとしてもアヴァンギャルドとか前衛と聞くとなんとなーくイメージするものが何かしら皆の頭にあるような気がします。そういえば、もうかれこれ10年以上前の私の誕生日にニューヨーク屈指の老舗ジャズクラブVILLAGE VANGARDで聴いたジャズもかなりの前衛っぷりだったなぁ...。私の誕生日は2月14日ヴァレンタインズデイというみなさまご存知の通り若干甘めの日で、その日のVILLAGE VANGARDにもカップルが多かった気もするけれど、私の友人がベースとドラムを務めていたそのバンドの演奏は、これでもかといわんばかりにゴリッゴリの前衛ジャズで、甘い1日である前に私にとっては誕生日だと思っているからロマンティックな気分に浸ろうと思うなかれ!みたいなヴァレンタインズデイは決して悪くなかったけれど。ともあれそんな昔話は置いといて、今日は私は最近出逢ったとてもアヴァンギャルドでとても素敵な女の子のお話。
マントとポンチョが好きな私にとって今が良い季節っていうのは冒頭でも述べましたが、その日も東京は気持ちの良い秋の日でちょっとしたマントを羽織ってランチに出かけた私はとても素敵な午後を過ごしていました。ランチも終わり、お友達と近くのお気に入りのカフェでお茶を飲もうとそこの外のベンチに陣取って、注文したもの達を待っていたら現れたその子。絶妙なサイズ感のグレイのスウェット上下にこれまたグレイのPATRICKのスニーカー、差し色に綺麗なオレンジ色の靴下を履いて、肩までのボブの前髪はじゃりんこチエみたいに雑にくくってあって、首からは左右で大きさの違う筒をあわせてきっと自分で作ったであろう双眼鏡のようなものぶら下げていた彼女には近頃のおしゃまなコドモな感じが一切なくて、なんだかすごく自然でのびのびしていてコドモらしくて、一目見た瞬間になんだか幸せな気持ちにさせられてしまった私と友人。そしてそんな気持ちを見透かしたのか、彼女は私たちをいろんな遊びに誘ってくれたのです。「たたかいごっこ」や「おうちごっこ」、「こうえんごっこ」に「ドラえもんごっこ」。コドモの頃に楽しんでいた「ごっこ遊び」を久々にしてみたけど、そこいら中に落ちていたりする何もかもを遊び道具に変えていく彼女の独創性に感服してしまいました。昔は自分もそうだったんだろうなぁと思いつつも、コドモならではの感性で見る世の中とか、コドモだからこその突拍子もない思いつきとかって本当に大切だなぁと思わされました。輸入衣料やちょっとした素敵な雑貨も置いてあるそのお店に、アクセサリーを納品しに来たお母さん(パリの路地裏にいそうな猫みたいに素敵な方だった!)と一緒に来たらしいその子は4歳だそう。一番身近なアヴァンギャルドはコドモたち。小さな彼女らから学ぶことはそれはそれは多いのです。
つづく
Photo:Yusuke Miyazaki at Sept / Styling:Aika Kiyohara
Hair&Make-up:Yoshie Sasaki at Sylph